BOSS OD-3とSD-1の弾き比べ
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BOSS オーバードライブSUPER OverDrive スーパーオーバードライブ SD-1(T)
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- OD-3「OverDrive」
- SD-1「SUPER OverDrive」
- BD-2「Blues Driver」
- OS-2「OverDrive Distortion」
- DN-2「Dyna Drive」
この辺までがいわゆる「オーバードライブ」だろう。*2あとは「ディストーション」や「ファズ」にカテゴライズされる歪みとなる。
唯一無二の音と評判なブリティッシュ系・BD-2、ノイズは多いが割と万能(中庸・中途半端ともいう)OS-2、明らかにイロモノなDN-2――と、ここまではいい。問題は、OD-3「OverDrive」とSD-1「SUPER OverDrive」がどう違うのか、ということ。
先日、中古屋で二つを弾き比べ、(中古屋だったので余り長くも試奏できなかったので)二つ買い、家でじっくり弾き比べた結果をレポートしてみる。既にこういったレポートはネット上にも散見されるが、
上記の理由により、簡単にレポートしてみる。音源を上げたり、OD-1も弾いて比較すべきだったり、いろいろ至らない点はあると思う。その辺はおいておく*5として、まずは雑多な感想程度の覚え書きをしたためてみる。
【検索すれば出てくる、ちょっとした話】
BOSSの歪みの中でもDS-1「Distortion」と並び、実質的なBOSSコンパクトの象徴となっている「OverDrive」。実は開発の過程でOD-1から「進化」したOD-3は、OD-1とは随分違った回路を搭載したモデルになっている。(自分は弾いたことないけど)つまり、OD-1とOD-3は、同じ「OverDrive」の名前を冠していながら、実際は別のエフェクターということになる。(※このあたりの歴史は、それこそ他のサイトで調べてみてください)
ではOD-1はそのまま時代の流れに埋もれていったのか――というと、全く逆。このOD-1の源流を引継ぐ「同型の回路を搭載したモデル」が、SD-1なのである。詳しくはこの記事を参考にしていただくとする。
【じゃあ、どう違うのよ】
BOSSの公式Webサイトにはこのような解説があります。
まずはSD-1。
OD-1直系、オーバードライブの原点機
ロングセラーを続ける伝統のオーバードライブ・サウンド。初代オーバードライブOD-1と同じ非対称オーバードライブ回路を採用し、ギター・テクの微妙なニュアンスはそのままに、甘くマイルドな歪みをつくれます。トーン・コントロールで表情豊かな音づくりが可能。ブースターとしての使用も効果的。
以上を鵜呑みにすると、
- ピッキングニュアンスが出やすい
- 余り歪まない
- トーンの効きがよい
- ブースターとしても(メーカーが)推奨している
こんなところだろうか。
一方、OD-3というと……
これがオーバードライブの新たな定番、OD-3
デュアル・ステージ・オーバードライブ回路を搭載。美しい倍音と図太い低域、粘りのあるサステインが特徴。コード・カッティング、リフからソロまでオール・ラウンドに使えるオーバードライブ。
まとめると、
- 低音域が出る
- サステイン○(=音の粘りが良い)
- ハーモニクスが綺麗
- 用途を選ばない万能型
ちなみにここでも、明らかに「今までのODとは別物ですよ!」と宣言している。
つまり、
- SD-1:「古き良き」タイプのオーバードライブ。どの音域もカバーした癖のない出音。
- OD-3:新しいタイプのオーバードライブ。低音域を強調した出音。
という違いがあることが、これを読むだけでなんとなく分かる。
【だったら実践あるのみ】
新品では店頭価格が¥8,800(昔は¥8,000)。現在のBOSSコンパクトの最低ライン。両機種、中古屋での相場は¥4,000〜¥6,000程度(状態に依る)。箱無傷有で4k、中古備品で6k、といったところ。自分の場合は、アウトレットで箱無しを仕入れた*6。中古でも意外と高い。コンパクトの代表的ブランドであることで値段が落ちず、昨年のBOSSコンパクトの一斉値上げによって中古相場も値上がりを見せたのかもしれない。筆者の仕入れ値は秘密。減額交渉に応じてくれた中古屋のお兄さんに感謝!
さて、早速家に帰って使ってみるとする。セッティングは下記の通り。
[rakuten:esp:10000049:image]E-TE-92M/LT
(OD-3、SD-1、BD-2並列・ところにより直列)
ROLAND CUBE-15(写真は15X)
一応手持ちのBD-2とも比較してみることに。ギターについては、シングルコイルのほかにハムっぽい出音も選択できるEDWARDSのテレキャスター・E-TE-92さんにお越しいただきました。
各種、DRIVEを適宜調整しながら、同程度の音量になるようにLEVELを調整。TONEはいろいろいじってます。以下、ちょっと弾いてみた印象。
- 最初の印象・音の特徴
- アルペジオ
- SD-1:表情豊かなアルペジオに。上手く調整しないと高音がキンキンしがち。
- OD-3:音が太くなるので、アンサンブルの中で埋もれづらい。繊細な曲には合わないかもしれない。
- コードストローク・カッティング
- SD-1:コードの分離にムラがある。TONEコントロールでうまく強調域を指定しないと、汚い音になってしまう。上手く調整できれば戦力。
- OD-3:程よく歪み、程よくまとまった音。抜けはイマイチだけど、リズム(サイド)ギターにかける音色としては上々。良し悪し。オープンコードに向くかも。あと、ミュートの音が大きくて気持ちよい。
- パワーコード(ディストーションでやれ、と思ったけど、一応)
- SD-1:TONEを抑え目に調整すると、ジャキジャキ刻んだ時気持ちいい音になる。実践的ではあるが、ツイン・ギター・バンドの場合、抜けはイマイチ。
- OD-3:低音域が篭ってしまって、これもイマイチ抜けない。ボトムを支える役割であればOK。ただ、これについては他のエフェクターを使ったほうがよさそう。
- リフ・ソロ
- SD-1:素直な出音。高音域が煌びやかに伸びる。DRIVE量やTONE設定によっては、低音は潰れがち。1〜3弦を複数使ったリフ、高音域のソロに威力を発揮。
- OD-3:丸みを帯びた出音。耳障りでなく、よく伸びる。音は太め、DRIVEを上げてもさほど歪まない。高音域は音量が低くなる。太い音でソロを弾きたいならこっち。単音リフにはもってこい。
【で、結局どっちがいいの?】
BD-2も含めて、比較をしてみた。
《歪み》
- OD-3:弱め〜普通
- SD-1:弱め
- BD-2:普通〜やや強め
《強調域》
- OD-3:低音域↑
- SD-1:中音域↑
- BD-2:低〜高音域(セッティングによる)
《ピッキングニュアンス》
- OD-3:出しづらい
- SD-1:やや出しやすい
- BD-2:出しやすい
《ボリュームへの追従性》
- OD-3:ない
- SD-1:ほとんどない
- BD-2:ある
《音痩せ・ノイズ》
- OD-3:激しい音痩せ/比較的ローノイズ
- SD-1:普通/ノイズ多い
- BD-2:普通/ノイズやや多い
《用途》
《向いているPU》
- OD-3:シングル・ハム問わず
- SD-1:どちらかといえばシングルコイル向け
- BD-2:シングルコイル向け
《使いやすさ》
- OD-3:どの位置でも使いやすい。初心者向け
- SD-1:その時その時で調整が面倒。中級者向け
- BD-2:初心者でもOK、中級者が持っても十分使用に堪えうる性能
音は決まってしまうが使いやすいOD-3、調整は面倒だが汎用性が高いSD-1、独特の音色を持つBD-2……と、それぞれに特色があり、どれも長年ラインナップに加わっているのも頷ける。
BOSSのエフェクターは手頃な価格で手に入る反面、ハイエンドに比べると荒が目立つため、批判も多い。そういった情報に流されずに、自分好みの音かどうかをしっかり見極めて購入を検討することが大切だろう。
余談だが、前述の通り、SD-1は買ってすぐ手放してしまった。俺には初心者向けエフェクターがお似合いなんだろうな。