オーバードライブ探しの旅

BOSS Blues Driver  BD-2

BOSS Blues Driver BD-2

名器と謳われるBOSS BD-2 Blues Driver。初めて買ったエフェクターで思い入れも強く、独特のトーンも好き。以前からかなり重宝して使ってきたんだけど、最近は他のエフェクターに出番を取られつつある。どうしても下記のような点が気になって、使いこなせていないのが現状。

  • JC-120と合わせると、クランチの際の低音や中低音が物足りない。
  • JC-120と合わせた時、ある程度ゲインを稼ぐと音が抜けない。

かといって、ピッキングニュアンスでメロとサビを表現できるようなエフェクターが必要なことに変わりはない。そろそろ、代替機が必要なのかな……と思い、ブルースドライバーに代わるエフェクターを探しに行ってみた。


というわけで、欲しいペダルのまとめ。

  • クランチ〜オーバードライブが作れるペダル(特にクランチ)
  • ピッキングニュアンスを拾いやすい
  • 低音や中音域がある程度太い
  • 予算は2〜3万

試奏したセッティングは、実際の使用状況に近づける為にテレキャスター(アルダー)→各エフェクターRoland JC-120。
Fender USA American Standard Telecaster (BLK/R)→Effectors→Roland ジャズ・コーラス JC-120B
しばらくJCを占領してしまったので、楽器屋さんには大分迷惑をかけたような気がするけど、、、とりあえずレポートという名前の備忘録を。

  • Boot-Leg ROCK'N'ROLL PARTY 1.0(¥20,475)
  • Boot-Leg ROCK'N'ROLL PARTY 2.0(¥20,475)

Boot-LegのRock'n'Roll Party。1.0と2.0というバージョン違いがあり、値段はほぼ一緒。違いは、高音域の周波数特性をコントロールするRAVEコントロールがある(2.0)かない(1.0)かの違い、という説明。どちらも試してみた。かなり太い音が出るし、ピッキングニュアンスも上々。
2.0は1.0に比べて「低音が若干ぼやける」「ニュアンスが出にくい」と感じたものの、RAVEコントロールがあるため音作りの幅が広い。単純に好みの問題だけど、作りこむなら2.0、弾きながら表情に変化を与えるなら1.0、といった感じで選ぶといいかもしれない。
印象はよかった。非常に使いやすい音が出る。ただ、どちらかというとオールド系というか古めかしい音で、クランチにするとモコモコするのが気にかかるぐらい。反応性を買うなら1.0、BD-2系のクランチサウンドを作るなら2.0かなぁ。余計な部分がない、っていうのはディスクリート回路ではある種重要な要素なのかも。今日紹介するラインナップの中では最安値、というのもいいところ。BD-2の短所を上手くカバーした良いエフェクターだと思います。

  • Fulltone Obressive Compulsive Drive OCD(¥24,150)

FulltoneといえばFULLDRIVEだろ!と思ってたけど、それは一昔前の話。どこへ行っても薦められる、売れ筋オーバードライブ。FULLDRIVEの弱点だった「トランジスタにつないだときのがっかり感」を解消した、らしい。HP(ハイピーク)とLP(ローピーク)の切替ができ、レンジも広くかなり歪む上、ピッキングニュアンスを出しやすい……と、評判のかなり高いペダル。NICO Touches the Wallsの光村さんも使っているんだとか。ヴォーカルギター向けってことかな? ちなみに、試奏機はVer.4だと思われる。
個人的には歪み過ぎな気が。いや歪むのは問題ないんだけど、歪んだときにハイだけ抜ける感じで、低音や中低音が残らない気がする。Driveを9時、Toneを8時ぐらいにセットして、LPモードにしてももこれだから、ちょっと今回の趣旨からすると外れるかな、と。ニュアンスは良く出るし、オーバードライブとして可変域は大きいし、いいペダルなんだけどなぁ……。俺には豚に真珠なのかもしれない。
JCを使うという前提であれば、レスポールに咬ませれば、低音のスポイルも軽減されるだろうし、いい音が出るのかな……と思った。売れているわけだし。

Mad Professerという北欧?の会社が作っている中でも有名なオーバードライブ、Sweet Honey Overdrive。本来4〜5万する機種だけど、口コミで広がって「知る人ぞ知る最高のオーバードライブ」の名をほしいままにしたペダル。New Sweet Honey Overdriveは、これはその好評を受けて製作した廉価版。内容はそのままに、パーツのクオリティを若干落として、買いやすい価格に調整したペダルなんだそうな。
OCDと比べて、上品な音というか、ローがしっかり残る歪み方をする。コードの分離感もいい。ただ、やっぱりOCDと同じで歪み過ぎるかもしれない。救いは「FOCUS」というTONE風のコントロール。ただのTONEコントロールと違っているみたいで、特定の周波数域を「持ち上げる」ような印象を受けた。自分の場合はFOCUSを8時ぐらいに、DRIVEを9時ぐらいにセッティングすると、OCDより気持ちのいい音が出た。
個人的にはOCDよりこっちのほうが好き。でも、やっぱり今回の趣旨からすると外れる。いつか欲しいな、と思わせるペダルだったんだけど……。FOCUSコントロールには感動した。普通のエフェクターもこういう感じのトーンコントロールができれば音作りが楽なのに、と思った。

Ex?pro 30VOLT

Ex?pro 30VOLT

Ex-Proってはじめて聞いたかも、と思ったけど以前の記事で「32Volt Booster」というのを紹介したことがあった気がする。高級志向のブランドで、内部昇圧回路によって超ローノイズを実現したペダル、だそうな。駆動は9Vだけど、内部で30Vまで昇圧している、ってことなんだろうか。今回試した中では唯一、トーンコントロールではなく2バンドEQ方式。「WILD」と「MILD」の2種が選べるトグル付。WILDは荒々しい歪み、MILDはスムースな歪み。
イメージとしては「ローノイズで反応性のいいSD-1」といったところだろうか。ぶっちゃけ、JCには合いません。おそらくマーシャル系と組み合わせたときに気持ちいい音が出るエフェクターなんだろうなぁ、と予想。MILDモードを選択した上でピッキング弱めで弾いても、若干倍音が強く残ってしまって、クリーンっぽい出音にならない。SD-1もそういう理由で手放しているので(今考えると勿体無いんだけど……)、自分には使いこなせない気がする。これこそ豚に真珠。

  • Keeler Designs PULL(¥27,200)

Keeler Designs キーラーデザイン オーバードライブ Pull (国内正規品)

Keeler Designs キーラーデザイン オーバードライブ Pull (国内正規品)

店員さんが見繕ってくれたエフェクター。「PUSH」と「PULL」があり、「PUSH」はマーシャルライクなペダルらしい。Keeler Designsという(自分が不勉強なせいで)よく知らないブランドなんだけど、とりあえずモノは試し、ということで。
コントロールも普通だし、出音も癖がないし、面白いところはあんまりない……と思ったんだけど、トーンの効きがすさまじい。12時を10時にしただけでもうまったく別の音に様変わり。9時にしたらローが出すぎて弾いているこっちが困惑する。3時にしたらBD-2っぽい音がでる。これだけトーンの可変域が極端すぎるエフェクターには出会ったことがない。面白すぎる。
クランチを作るならこのペダル、だと思った。おそらく、真価は真空管アンプのブースター使用時で発揮されるんじゃないか、と思う。しかし、JC-120との相性も悪くない。


個人的にはRock'n'roll PartyかPULLかなぁ、と思った。気をつけなければいけないと思ったのは、「オーバードライブを探してます!」じゃなくて「クランチの作れるペダルを探してます!」って言わないと、趣旨に沿ったペダルにはたどり着けない、ということ。ただ、クランチサウンドを前面に押し出して作っているペダルなんてあるんだろうか……。
というわけで、もうちょっと探してみます。なんだか、いろいろ弾いていると感覚がわからなくなってきて、「あれ? 何で探してるんだっけ? もうBD-2でいいんじゃねぇの?」と思い始めてしまうぐらいには混乱している。
俺たちはまだ登り始めたばかりだからな……この果てしなく長いエフェクター坂をよ……(未完)