多機能ディレイエフェクター比較:LINE6、BOSS、T.C.E
楽器屋に行こうとしているお友達*1がいたので勝手について行って、個人的に「バンドでディレイが必要になるかもしれないので、選んでおこう」という目的もあったのでので、試奏してきた。
それこそBOSS DD-7とかDIGITECH DIGIDELAYとかIbanez DE7とか、それこそいろいろあるしピンキリの世界なんだけど、自分が使う上で必要な機能を考えると、
- エコー(リバーブ)的な効果が入っている
- タップテンポ機能がある
- 設定をいくつかストアできる
一番最後の条件が必要なわけで、そうなってくると、ある程度高い商品しかなくなってくる。前述のコンパクトエフェクターはとりあえずメモリー機能がないのでボツ。その中で、安いディレイを探してみた。
BOSS Digital Delay"GIGA DELAY" DD-20
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LINE6 DL4 Delay Modeler エフェクター
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t.c.electronic ND-1 Nova Delay ギターエフェクター
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というわけで、この3機種を引き比べてみた。
セッティングはCoolZのテレキャスター(アルダー&ローズ)→BOSS BD-2→各種ディレイ→Roland JC-120。スタジオで入るセッティングと似せてみた。
【弾き比べた印象とか】
項目ごとにそれぞれの印象、特徴などを書いてみます。
- パッチ数、バンク切り替え
- BOSS DD-20:4つ。切り替えは右ペダルで行う(デフォルト設定)。P1→P2→P3→P4→マニュアルモード→P1・・・といった感じでの切り替え。「ダイレクトモード」があり、任意のバンクとマニュアルモードを交互に切り替えるように設定することも可能。
- LINE6 DL4:3つ。各フットスイッチを長押しして記録する。拡張することなく、ダイレクトアクセスが可能。ちなみに、一番右のスイッチはタップテンポ用で、ストア用には使えないっぽい。
- t.c.electronic ND-1:9つ。筐体中央、左から2つ目のボタン(指で押すタイプ)でP1→P2→・・・→P9→P1→・・・といった感じで切り替える。プリセットレンジの範囲指定をすることもでき、切り替えるバンクの数を調整可能。たとえば、3つに設定すればP1→P2→P3→P1→・・・とすることもできる。
- エフェクト種類
- BOSS DD-20:11種類。TWIST、MODULATE、REVERSEといった変態系効果も網羅しつつ、基本的なエフェクトはしっかりと押さえている。
- LINE6 DL4:16種類。基本的な効果に加えて、「どうやって使うんだこんなエフェクト!」と叫びたくなること請け合いの変態系効果も多数搭載。これ1台で一日暇を潰せるぐらいの多才なモデリング。どのモデリングもよくできているなぁ、と感心する。ただ、一部のエフェクトはどういうときに使うのか本当によく分からない……。シューゲやってる人に教わらなくちゃ……。
- t.c.electronic ND-1:6種類。基本的な効果のみを取り扱っている。モノラル・アウトの際に大して意味を成さない効果が2種類(ピンポン、パン)あり、モノラルの場合は4種類しかない計算に。
- 操作性
- BOSS DD-20:流石にBOSS、何をやっているかがわかりやすい。操作性は3機種の中でも随一。使い方に応じてモードを変更することも、簡単な操作で可能なので、いろいろな形でアクセスできる。
- LINE6 DL4:ツマミは一番少ないので、「好きなエフェクトを選ぶ→各ツマミで調製」という、簡単な操作で色々なエフェクトが操れる。アナログディレイのモデリングなので、デジタル的な要素はほとんどないけど、直感的な操作ができるのは、ディレイ初心者には嬉しい。
- t.c.electronic ND-1:効果は6種類ながら、MODULATEツマミでちょっとした効果を付け加えることができる。BPMの機能は搭載しているものの、アクセスが難しいので直感的な操作は難しい。使いこなすのにはコツが要りそう。
- 出音
- BOSS DD-20:分かりやすく実践的な音が出る。「デジタルな感じの冷たさ」も、アンサンブルの中に溶け込んでしまえばさほど気にならないのでは。どのポジションでも使えそうな音になるので、よく出来ている商品だなぁ、と思う。
- LINE6 DL4:全体的にアナログライクな、丸みを帯びた感じの音になる。温かい音で、聞いていて落ち着く音。ただ、原音も含めて、出音の輪郭がぼやける感じ。それがアナログっぽさといえばそれまでだけど、原音をスポイルされているようにも感じる。はっきり音を出そうとしても、若干丸まってしまう。ただ、かかるエフェクトの種類によると思うので、じっくり向き合ってみないとなんともいえない。
- t.c.electronic ND-1:とにかくクリアで鮮明な音が出る。アナログライクな音は出ないけど、それに近い音は出る。BOSSと比較すると、妙に痩せたり篭ったりするところがないことに驚く。単体の音として聞くなら一番「綺麗な」音じゃないだろうか。綺麗な音が嫌いな人もいるだろうけど、COLORツマミやMODULATEツマミで好みの音に補正できるのでは。
【まとめ】
- BOSS DD-20は「安くて多機能、そして使いやすい」ディレイ。即戦力としては一番。変わった音も出るので、遊び道具としても面白い。シームレス(エフェクターをOFFにしても、音が途切れない)なのも嬉しい。
- LINE6 DL4は、アナログライクなエフェクトを好む場合におススメ。変態系エフェクトも多いので、シューゲイザー向けとも言える。ただ、出音が丸くなってしまう傾向があるので、歪み系と組み合わせる場合は、自分のエフェクターとの相性を確かめるべし。あと、デカくて重くてアダプターもデカイので、エフェクターボードを組むときは注意。
- t.c.electronic ND-1は、使い込むことで真価を発揮するエフェクター。BOSSやLINE6のように変なエフェクトこそないものの、基本性能がしっかりしていて、綺麗なディレイがかかる。設定はやや面倒なものの、しっかりとした音作りができれば、他の2機種には出せないクリアな音を作り出せる。飛び道具的なものを求めないのであれば、このエフェクターでいいのでは。
みんなこの辺で悩んで、最終的にLINE6買ってるんだろうけど……。店員さん曰く「BOSSはあんまり売れてないんですよ(笑)」だそうな。さて、自分の場合は……!?
(追記:音痩せについて)
「DD-20 バイパス音」とかで検索してググって来た人が多いみたいなので、追記。いろんなところで「BOSSは音痩せする」「LINE6はトゥルーバイパスのくせに音が変わる気がする」という意見が出ている。どうなんだろうか。
当然OFFの状態でも音出しはしている。今回明らかに音が変わったな、と思ったものは、正直なかった。強いて言うなら、LINE6がハイ落ちしてて、BD-2とぶつかり合ってるかな、程度。ただし、BOSSで音痩せを感じなかったのは、今回の試奏では前段に同じメーカーのBD-2をはさんでいるから、という可能性が高いので、単体で繋いだとき(もしくは、他のエフェクター等をはさんだとき)の音質変化はどうなるかまではチェックしていない。ご希望に沿えなくて、ごめんなさい。
個人的にはあまり劣化云々をあまり気にしない*2し、劣化してるかどうかそこまで耳がよくないし……。そもそも、実際に使うであろうセッティングに近づけて試奏しているわけだから、その時の出音が全てだと考えている。バイパス音がどうのこうのと言う前に、自分の普段のセッティングに近い形で試奏してみるのが一番。まさか、3機種の中で唯一トゥルーバイパスを謳っているLINE6のバイパス音が一番気に食わない結果になるなんて、事前には予想できなかった。
というわけで、検索かけてお越しいただいた方へ。こんなブログとか他のネットの情報をアテにしないで、必ず試奏してください。強いて情報を挙げるなら、先に述べたとおりBOSS歪みをスポイルするようなバッファではない(だろう)ということ、それから、出音がクリアなことからも想像できる通り、Nova Delayはトゥルー・バイパスではないけどクリアな音を出力できるバッファが使われているということです。