ライブで「女性専用エリア」だってさ

木村カエラさんのライブで、そういう試み?があったそうです。

何にせよ、これは一部で荒れそうだ。まだ2○h・匿名ダイアリーは覗いてないけどね。以下、個人的な感想というか考察というか思ったことの有象無象。


まず、被害者(?)のid:katokitizさんのご意見。

最近、スタンディングライブでモッシュやダイブが禁止と言われ、主催者が口うるさくなったりしている。確かに過度なモッシュで失神する人も居るし、ダイブされてケガしたなんてこともあるだろう、ぼくもダイブされてメガネがひんまがったことがあるが、ぶっちゃけ、それを含めて、スタンディングのライブだとぼくは思っている。ぼくはロックのリズムにあわせて体を動かしたい。飛び跳ねたい。もっと言えば、全員でそのビートを共有しモッシュしたいのだ。もちろん周りの空気に合わせ、ある程度の節度を守るし、誰かが上から飛んできたら、優しく前方へ投げ飛ばしてやる。それがぼくの考える「ライブハウスでのライブ」だし、ステージから下はぼくらのモノだ。その中で楽しむ権利はある。

モッシュやダイブが禁止されるのは百歩譲って理解するとしても、「女の人が多いから男は前方に行ってはならない」という考えは絶対に許さない。もちろん他のアーティストでは起こらない現象かもしれないが、もし、これから女子がライブハウスに詰め掛けて、男子禁制になりだしたら、ライブなんて行く価値などない。



それに応えた形ではないけれど、id:inumashさんの感想。論拠等については、ご本人の記事を参考にしてください。*1ログを見るに、どうやらTwitterのつぶやきを引用した様子。なると以下はプライバシー保護のため隠しています。

  • 00:44 これなぁ。そう単純な話でもないと思うんだよねぇ。女の子は別にもみくちゃになりたくてライブに行ってるわけじゃないと思うんだ。肉体的なハンディキャップもあるし性的なリスクもあるわけで。
  • 00:49 多分「女は前、男は後ろ」ってのが不公平感の要因になってると思うんだけど、ライブ行く女の子って普段そういう状況に置かれてるんだろうし。まあそういう状況でもモッシュしたい!」「前で見たい」って子は自己責任で前に行くんだろうけど、そこに手心を加えるのはそう悪いことじゃないと思う。
  • 00:53 たとえばホルモンのライブとかでモッシュピットに特攻して終わったあとボロボロになりながら出てきて「楽しかったぁ!」とか言ってる子には「バカだなぁw」とか思いつつに暖かい視線を向ける感じなんだけど、そういう子ばっかじゃないだろうし。
  • 01:03 @h******* その辺は正直結論は出ないなぁ。ポルノにおけるゾーニングの有効性を支持する人間としては、“女性専用エリア”の存在もありではないかと思ってしまうんだよね。
  • 01:13 @h******* 逆差別等々に関しては配置の仕方にもよると思う。いや、本当は分けたくなんてないんだけどね。何せBECKが言った「モッシュはコミュニケーションなんだ」って言葉を信奉してる人間だから。
  • 01:22 @m********* ただはっきりと言えるのは、「ロック」は性差別的側面を多分に含んだカルチャーであり、外部からも内部からもその批判は行われてきた、ということ。もし「ロック」って文化を真摯に語るのなら、そのことにも目を向けるべきだと思う。



お二方とも「ある種の制限がかかるのは仕方ないこと」と認めつつ、「でも本当はパーティションを設けることにはある程度抵抗がある」というご意見の様子*2
そもそもライブには、いろんな立場から参加する人がいるわけで、その立場によってライブの目的も異なるから、いろんな意見が出るわけだ。客にしても、楽しみ方は人それぞれだと思う。「とにかく音楽に合わせて暴れたい」「音楽に酔いしれたい」「キャーキャー言いたい」(笑)とか。
ちなみに俺自身は、モッシュもダイブも否定しないけど、自分でやろうとは思わない。じっくり音楽聞かせてくれ、と思う。モッシュやダイブが楽しいならそれはそれでいいんじゃないだろうか。ただ、そういうことが良く起こるライブには行かない。ちなみに、否定するとすれば(合いの手等を入れるに飽き足らず)「アーティストに合わせて歌いっぱなし」の人。カラオケに行け。歌詞覚えてるのねー、はいはいすごいねー、でも大声はやめてねー。*3
問題は、楽しみ方が人それぞれ違う中で、どこにプライオリティが発生する(存在する)のか、ということ。

  • 身長差に始まる身体的なハンディ
    • これは先天性のものだし、「高身長だから常に後ろの人に気を遣え」「低身長だから見えなくても諦めろ」というのは流石に酷だ。実際どうしているかというと、本人がポジショニングに気を付けたり、周りに気を回したり、逆に周りが気を遣ったり、そもそもそういう者として本人が自覚して臨んでいるケースがほとんどだろう。そこにプライオリティはなくて、ハンディキャップの発生はほぼ自然だし、それに対して対処するのは「ライブハウス」という場所にいるある範囲の一群集が単位となる。
  • 参加者のスタンス
    • モッシュ・ダイブありきで参加する人もいれば、静かにアーティストの演奏・声・姿を聴く/見るために参加する人もいるわけで、その住み分けはない。最前列およびそこに近い位置には、その両者を区別するマーカーはない。その場その場の雰囲気――というか、やはりアーティスト・ファンの性質や一群集単位で決まってくる。この件については、単に勢いのあるほうにプライオリティがある――気がする(経験則)。
  • 性別差
    • 「ライブで男も女もない」という意見もごもっとも。一方、パブリックスペースである以上、女性の(社会的に守られるべき)弱い部分の保護を声高に訴えたら、その声には勝てないんじゃないんだろうか。「嫌なら来るな」と一蹴するわけにもいかないだろうし。でもそれって、最終的に司法上の争いになるわけで、一個人の問題とはいえない。

現場ではどれも(主催ではなく、一部の参加者が)配慮に欠ける部分がある一方で、参加者も(一部に不満はあれど)それを認めながら楽しんでいるのがライブ……だと思っている。
2005年のARABAKIだったかな、モッシュやダイブは個人的に嫌っている俺が、ギターの手元や表情を見ようとして最前列に行ったら、1曲中に2回、ダイブしてきた人が寄りかかってきたり、後ろにいた体格のいいお姉さんと前の柵に腹部を挟まれて、随分痛い思いをした。でも、その位置にいることで自分としては楽しかったし、そもそもその場所を占有してしまっている当然のコストだし、それだけに不満を言えるわけはない。*4


今回、主催者が、上記のどの部分を配慮して「女性専用エリア」を設けたのか、その意図は知れない。女性に関しては安心して見られるエリアの確保が行われたわけで、これは革新的なことだし、(弱者保護という)考え方としてはシルバーシートと何ら変わりはないから、理論的におかしくもない。
自分が一点疑問を持つとすれば、「なぜ"最前列に"エリアを作ったんだろう」というもの。「最前列からはちょっと退いたエリア」を柵で囲ったりして保護すればいいだけの話じゃないかと。見えやすいように、目の前には立ち見客が並ばないような何らかの工夫を講じる必要はあるけど、ずっと見張っている手間を考えれば、それぐらい造作もないんじゃないだろうか。
基本的に、(先天的な理由で)特別な立場を与える際に公平性を損なわない為には、フラットの状態から見て得と損がプラマイゼロでなければ、一般から文句があって然るべきだろう。もし、女性というだけで最前列を確保できるのであれば、極端な話、性転換してでも前に並びたい男性の気持ちってどこに行くんだろう。


追記するかも、しないかも。

11/10追記:俺みたいな奴の歪んだ意見が大衆の目に晒されるのもアレなので、トラバ切ろうかどうか迷い中。
id:katokitizさんのブログに追記があったようです。要点は下記。

  • 事前に告知があったようです。悪いのは確認しなかったぼくです、ごめんなさい
  • 最前列の左半分は女性専用スペースだったようです

なるほど。
で、右半分は男性専用スペースだったんだろうか? そうでなければ本来の意義からすれば不平等、ということになるんだろうなぁ。
木村カエラさんのライブのファン層(モッシュ等の頻度や男女比)がわからないけど、女性が比較的少ない(全体の3割以下)なら、今回のような措置はそれはそれでひとつの形なんだろうな、と思う。*5
ある程度知名度のあるアーティストのライブを主催する側が、人権保護を声高に謳い上げる方々のご意見も取り入れなければならなくなって、その結果が今回の措置だとするなら、「売れ筋アーティストって大変だな」と思う。フェミニストじゃなくて女尊男卑の域に踏み入っていたとしても、そういう人たちは(自分たちさえよければよいんだろうから)気にしないんだろうな。

今後の予想される展開を書いてみるか!(※一個人の妄想のみでお送りしております

  • 女性専用ライブとかやっちゃう(T.M.R.の男祭の例もあるし、いいんじゃないかと)
  • 女性専用スペースが拡大しちゃう
    1. 女性専用入口と男性専用入口を分けて、「右側男性/左側女性」と性差で隔離するライブが行われちゃう
    2. 女性が「私はベースの○○さんが見たいのに、なんで左側なの?」とか言っちゃう
    3. 全ての公演場所が2Daysになって、各所で女性用講演と男性用講演に分かれちゃう
    4. 日程について「なんで男性が日曜で女性が土曜なの?(あるいはこの逆)」とか言っちゃう
    5. ツアー自体が(以下略
    6. (以下略

【まとめ】
女性が何をいくら言っても、男側ってうるさくしないから、いいよねぇ。

*1:かなり詳しく書いてあるし、ここではそれを逐一解説しません。

*2:各記事の表面上の言葉から受け取った私個人の感想であり、ご本人の意思とは異なる可能性があります。予めご了承ください

*3:そういうバスターズには殺意を覚えるので、近くに寄らないようにしている。

*4:ELLEGARDENのライブでの話。ちなみに最前列に行ったのは、その直後がthe pillowsのアクトだったから、というのもある。エルレピロウズも、売れて客が入るようになった途端、ライブの魅力が半減したような気が……。客層って大事だな、と思う。こればっかりはどうしようもないけど。

*5:「ライブ」というと(個人的な経験からして)どうも女性の比率が多い場所のような気がしていたので、「なんで多いほう専用のスペース作るの?わけわからん」と思ってしまった。そうでないライブもあるよね。ごめんなさい。