考察:イニストラード ドラフトについて(仲間内非公式ブースタードラフト大会@シータ仙台店を通じて)

@tapmoxさん主催のブードラに参加してきました。
面白いデッキが組めた(気がする)し、結果も残せたので備忘録ついでに書いておきます。


アーキタイプ「発掘(Dredge)」とは?】
ISD×3のドラフトで最近注目されているアーキタイプの一つです。アーキタイプは主要なものでは下記のようなものが。

  • 白緑《旅の準備》ビートダウン
    • 低マナ域の人間クリーチャーと《旅の準備》や各種コンバットトリック・軽量除去《捕食》《悪鬼の狩人》等を組み合わせて早めに押し切るタイプのデッキ。頭一つ抜けて強い。
  • 青白飛行ビートダウン
    • 《月鷺》《礼拝堂の霊》や各種スピリットなどの飛行クリーチャーを固めて殴る。補助は各種エンチャントや《戦慄の感覚》《静かな旅立ち》でまかなう。地上戦力をどうにかごまかすのがポイント。
  • 緑赤「狼男」ビートダウン
    • 狼男を中心に据えた中速ビートダウン。変身後の驚異的なマナレシオで圧倒する。また、除去を自然に集められるため、長期戦にも強い。
  • 青白or青赤速攻
    • 《秘密を掘り下げる者》を始めとした1〜3マナクリーチャーと《戦慄の感覚》や《野鳥の手中》等を組み合わせて、とにかく早めに押し切るデッキ。環境最速。バウンスや除去もナチュラルに積めるため、戦い方も幅広い。

簡単にまとめると、上記のようなデッキがそれなりの勢力を築いており、ここにひっかからない場合はレアパワーで押し切ったり(例:《オリヴィア・ヴォルダーレン》、《血統の守り手》等)、除去コントロールにシフトしたりしないといけないので、それなりに苦労します。
しかし、上記アーキタイプに「黒い」デッキは存在しません。というのも、ISDの黒のコモン・アンコモンが軒並み弱く、《血の贈与の悪魔》《深淵からの魂狩り》のようなレアに依存するデッキしか組めない、というのが通説だったからです。しかし、普段なら見向きもされないカードを集めることによって、面白いデッキを組むことができます。
それが「発掘」というアーキタイプです。青緑タッチ黒や青黒タッチ緑で組まれることが一般的です。


【キーカード数種】
キーカードを書くので、大体どんなデッキか想像してみてください。

  • 《蜘蛛の発生》《裂け木の恐怖》《骨塚のワーム》《掘葬の儀式》
    • 発掘の代名詞。特に《蜘蛛の発生》の威力は凄まじく、裏表で10体以上の蜘蛛トークンが発生することも。《裂け木の恐怖》はトランプル持ちなので、巨大なサイズになったら手が付けられません(《大物潰し》に注意!)
  • 《禁忌の錬金術》《夢のねじれ》《グール呼びの鈴》《ネファリアの溺墓》
    • ライブラリー掘削用カード。警戒されていなければ、9巡目以降でも余裕で確保可能。
  • 《甲冑のスカーブ》《セルコフの密教信者》
    • ライブラリー掘削と序盤の壁を兼ねるナイス肉壁。相打ち上等。
  • 《縫い合わせのドレイク》《その場しのぎのやっかいもの》
    • 普段は若干使いづらいこのカードも、このアーキタイプなら安定してキャスト可能。上位種もキャスト可能ですが、さすがにディスシナジーが発生するので・・・。



【実際にやってみた】
まぁ純粋な「発掘」デッキではないんですが、優勝した自分のデッキがそれに近かったので、ピック順とともに振り返ってみます。なお、6人でのドラフトです。

  • 1パック目
    • 1《邪悪な双子》 2《縫い合わせのドレイク》 3《銀の象眼の短刀》
      • この時点では決め打ちしていなかったので、バッティングもケアしながらとりあえず青中心の丸いピックを。3巡目は《夜の犠牲》との2択だったものの、色を決めるには早計なのと《不可視の忍び寄り》を流しているためそのケア。その後、上手と下手が赤・緑の狼男をピックしているのが見えたので、青黒または青白路線へ。
    • 4《金切り声のコウモリ》 5《夜の犠牲》 6《旅行者の護符》 7《甲冑のスカーブ》
      • 戻ってきた自分のパックからの《甲冑のスカーブ》で方向性が一通り見えてくるも、まだまだ油断はできず。
    • 8《その場しのぎのやっかいもの》 9《夜の犠牲》 10《夢のよじれ》
      • 《夜の犠牲》が戻ってきたので内心ほくほくしながらピック。8、10巡目も順当にキーカードを集める。
      • その後は適当に終了。
  • 2パック目
    • 1《ランタンの霊魂》 2《ガヴォニーの居住区》 3《静かな旅立ち》
      • 《夜明けのレインジャー》ピックからの《ガヴォニーの居住区》は下手ケアで即カット。《ランタンの霊魂》はうまく時間を稼いでくれるナイスなクリーチャーです。《静かな旅立ち》も同様。
    • 4《死の支配の呪い》 5《マルコフの上流階級》 6《チフス鼠》 7《マルコフの上流階級》
      • 4手目《死の支配の呪い》は長期戦向けのドレッジにはかなり嬉しいカード。6巡目《チフス鼠》は序盤の攻防を支えてくれる良カード。《霊炎》の避雷針にもなります。
    • 8《好奇心》 9《グール呼びの鈴》 10《感覚の剥奪》 11《蜘蛛の発生》
      • 《感覚の剥奪》も序盤を耐えるのに必須のカード。《グール呼びの鈴》はこのくらいの順目でも手に入りますが、11巡目《蜘蛛の発生》はラッキーとしか言えません。
  • 3パック目
    • 1《瞬唱の魔道士》 2《死の重み》 3《カラスの群れ》
      • あまりスペルはないんですが、《待ち伏せのバイパー》気分で使いつつ運が良ければ《夜の犠牲》も使い回せるので《瞬唱の魔道士》。2巡目《死の重み》はもう1枚ぐらい欲しいところ。3巡目はただ強いカードなので取りました。3巡目で確保できるのはラッキーです。
    • 4《吸血鬼の侵入者》 5《蜘蛛の発生》 6《縫い師の見習い》
      • 2枚目の《蜘蛛の発生》をゲットできたので、実となる低マナ域のクリーチャーを確保。
    • 7《旅行者の護符》 8《熟慮》 9《祭壇の刈り取り》 10《歩く死骸》 11《感覚の剥奪》
      • あとは微調整用のカードを。実際、《閉所恐怖症》《死の重み》あたりが欲しかったんですが、無いものは仕方なし。

《裂け木の恐怖》はともかく《骨塚のワーム》ぐらいは欲しかったもんですが、言っても仕方ないので、あるリソースで戦えるようにします。できたデッキはこちら。

  • 【土地】17枚
  • 8《沼》
  • 7《島》
  • 2《森》
  • 【クリーチャー】14枚
  • 1《チフス鼠》
  • 1《吸血鬼の侵入者》
  • 1《歩く死骸》
  • 1《縫い師の見習い》
  • 1《瞬唱の魔道士》
  • 1《金切り声のコウモリ》
  • 2《マルコフの上流階級》
  • 1《ランタンの霊魂》
  • 1《甲冑のスカーブ》
  • 1《縫い合わせのドレイク》
  • 1《その場しのぎのやっかいもの》
  • 1《邪悪な双子》
  • 1《カラスの群れ》
  • 【他】10枚
  • 2《夜の犠牲》
  • 2《蜘蛛の発生》
  • 1《夢のよじれ》
  • 1《静かな旅立ち》
  • 1《死の支配の呪い》
  • 1《旅行者の護符》
  • 1《死の重み》
  • 1《熟慮》

41枚になっていますが、デッキを掘削する際に《森》が落ちてしまうことが結構あり得るので、追加の《森》を入れて調整。《旅行者の護符》を含め3枚分引けるようにしてあります。


【実際に戦ってみると】
ISD環境が早めのため、相手は重めのカードをあまりとりません。しかしこのデッキは一般的には長期戦になったほうが強いため、相手のクリーチャーに合わせて動くか、相手のクリーチャーを予測してクリーチャーを置いておくのが基本です。ビートをかけられればかけておくけれど、無理に攻め込まないのが基本です。今回は低マナ域に寄せたので、速攻デッキにもある程度耐性があります。
試合結果はすべて2−0でしたが、勝った試合のうち3戦は《蜘蛛の発生》が決まり手です。(《死の支配の呪い》のお膳立ても強烈でしたが。)


【まとめ】
デッキリストを見ると「これで勝てるの?」と思う方が多いと思いますが、もう少し緑に寄せてクリーチャーを充実させていくと、環境の除去の少なさも相まって、結構勝てる内容になります。ISDのテーマである「墓地を生かす」ことを最大限に楽しめるアーキタイプですので、ぜひ皆さんもトライしてみてください。