ギター初心者用に「最初のセット」を考えてみる
以前、「安いギター&安いエフェクターでセッティング」という記事を書いて、いまだにこれのアクセスが伸び続けているという、予想だにしなかった状況にあるこのブログ。戦々恐々としております。
さて、上記の記事の中で「今から始める初心者はこんな風に買っちゃダメだぞ!絶対だぞ!」と脅したにもかかわらず、こういう組み合わせで買っている例は後を絶たないのではないだろうか。実際、「教えて!Goo」などの質問には、「高校生です。お金が無いので2万円ぐらいで、品質のいいものが欲しい。何かいいのはありますか?」という質問が数多くある。枚挙に暇が無い。
別に「初心者セット」というものが須らく悪い、と言いたいわけではない。実際PhotogenicやPlaytechの初心者セットの価格帯でギター一式が手に入る、というのはとてもいいことだと思うんだけど、いかんせん「その初心者セットのうち、どれだけのものを1年後に使っているか」というのが疑問。長く続けるつもり*1なら、不退転の意志をこめて高いものを買ってしまったほうが、結果安上がりなんじゃないだろうか。
というわけで、「ギター経験者の目線から見た本当のエントリーセット」をまとめてみた。このぐらいのレベルでそろえれば、長くギターを楽しめるんじゃないかな、と。
注意:あくまで個人的見解なので、真に受けないように。
ちなみに、対象は「バンドを組んでスタジオ練習をする」「ライブをしたいと思っている」のいずれかに該当する人すべてだとして記事を書いている。自宅で一人で遊んでみたい!という人向けではないので、その辺も注意。あと、ジャンルはポップ系〜ロック系を想定しています。
【1.ギター本体】重要度:必須
まず最初に注意。中古はやめときましょう。
- タダでもらえるんだったら考えてもいいが、中古屋に売っているものは「現状に不満が出て」手放したものが多い。新品でさえ当たり外れがある世界なので、中古は外れの確率が高くなる。
- 万が一中古で選ぶ際は、欠品の有無・保障期間・アフターサポート内容等をかならず確認すること。
- まぁ、やめておくのが無難。リスクを承知で買うんだったら止めはしないが、後悔しても遅い場合が多い。
さて、ある程度つくりがしっかりしたメーカーのモデルを手に入れたい。純国産とまではいかなくても、組み立てだけでも日本で行っているメーカーがよいだろう。……とは思うけど、なかなかそれも難しい。エントリーモデル専用メーカーではなくて、仕上がりの丁寧なメーカーを選ぶべし。
ちなみに「初心者用ブランド」を謳うものとしては、Photogenic・SELDER・Maison・Mavis・PLAYTECH・Gio Ibanez・BUSKER'S・Legend・Blitz等がある。これらより2ランク上のモノを選ぶべし。逆に言うと、これらを買ったらすぐ不満がでる可能性が高いので、できれば避けることをお勧めする。
<形にこだわる場合:フェンダー系>
Fender Japan フェンダージャパン エレキギター ST-STD 3TS/ローズウッド
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<形にこだわる場合:ギブソン系>
- 出版社/メーカー: FERNANDES
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- 出版社/メーカー: Tokai
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<機能重視で選ぶ場合>
YAMAHA PACIFICA PAC-112V CX BL
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まぁ、あくまで一例。この価格帯で話に出てくるメーカーを挙げてみると……。
- Epiphone:Gibsonの下位ブランド。作りで言えばTOKAIのほうが上。どうしてもLes Paulというブランドにこだわる*3のであれば、(Gibson Japanは高額だから)止めはしない。
- Glassroots:ESPの下位ブランド。中級ブランドのEDWARDSに比べると、各部パーツ(特にPUと木材)が非常にしょぼい。作りはそこそこだが、どうせならEdwardsを買いたい。
- Ibanez:安めのモデルはGio Ibanez(初心者用)と同じ東南アジア製。ピックアップが使いやすい配置。ネックも薄めで弾き易いが、ネックの剛性に難のあるものが多く、手入れが面倒。
- Squier:要はFender China。パーツ・仕上げともに、非常に惜しいものが多い。変化球機種の出来はそれなり。エントリーモデルのAffinityシリーズはあまり薦められない出来だった。素直にFender Japanを買ったほうが損が無い。
- Laidback:島村楽器の下位ブランド。まだGlassrootsのほうがつくりが丁寧。ちょっと疑問符。どうせならHistoryやCoolZに手を出したい。
- Fernandes:エントリーモデルはIbanezと同程度の品質。モデル的には実践的なものが揃っている。Ibanezよりは薦めやすいが、電装周りが壊れやすい印象。
- Bacchus Universe:エントリーモデルとしては上記に並ぶ品質を見せているも、仕上げが雑なものが多い。値段に騙されず、素直にFender Japanを選ぶべし。
【2.シールド】重要度:高
安いシールドは、主に音質と耐久性の問題で不安がある。初心者セット付属のシールドなんかは正に典型。実際問題、ギターを始めるにあたって「音質」はさほど気にならなくとも、「耐久性」は必要不可欠。ある程度の耐久性を持ったシールドを購入することが重要。
だからといって、MONSTER CABLEやZAOLLA等の一級品シールドを最初から購入する必要性も感じない。お金があるならギター本体に回すべき。
重要なのが、エフェクターやフロアチューナー(後述)を購入するなら2本必要になる。基本的に1本で事足りるということはほとんど無いと思っていいので、可能であれば最初に2本買ってしまうといい。
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Vital Audio プロフェッショナル・ベースケーブル VA IIIシリーズ 2Pストレート / 2P L型 VAIII-2.0m S/L
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最近は安いシールドでも音質自体は悪くないものがある反面、どうにも脆い部分がある。いいものを買っておけば長く使えるので、ちょっと頑張ってワンランク上をそろえるべし。
【3.チューナー】重要度:高
「上達の秘訣はこまめなチューニングから!」などと謳う教則本も多い。チューニングは基本である。しかし、チューナーの選び方によって、チューニングの頻度や質も決まってきてしまう。そのことまで言及するものは少ないんじゃないだろうか。
特に、スタジオでの練習やライブの最中は、下記のような手順でチューニングをやっている人はほとんどいないのが現状だ。
- (ギターをアンプに繋いでいる場合、)アンプのヴォリュームを0にして、電源を落とす。*4
- シールドをアンプから抜き、チューナーに挿す。
- チューニングする。
- シールドをアンプに挿し、音の出る状態にする。
アンプを落とさないで抜き差しするとアンプの故障が起こる可能性があり、起こらなくても寿命は確実に縮む。
スタジオ練習やライブを見越して装備を整えるなら、最初から実戦向けのチューナーを買ってしまうのがひとつの手段だ。
シールドの抜き差しをせずにチューニング可能なチューナーは、フロア型とクリップ型に分けられる。主流はフロア型なので、ここは思い切って、最初からフロア型を買ってしまおう。
<フロア型チューナーの例>
KORG ペダル式チューナー pitchblack ピッチブラック ギター/ベース用 PB-01
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[rakuten:musicfarm:10001658:detail]
フロア型の中では安価だが、サイズが大きく、またジャック部分がすぐ欠けるなど耐久性に難がある。大きい分視認性は良いが、感度は並。
[rakuten:soundwave:10001658:detail]
2009年にバージョンアップして視認性・精度共に向上した。ほかの物に比べると高いけど、プロでも使用者が多数いる定番機種。*6
<やっぱり高いなぁ、と思うなら>
本番のステージは想像以上に暗い。フロア型でないにしろ、暗いところでの視認性がよいチューナーを購入すべきだろう。
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後半へ続きます。
*1:個人的には「本気じゃない」「どれだけ続けるか分からない」というのであれば、初心者セットでいいんじゃない?って答えるけど。
*2:Fender Japanの唯一の欠点は、電装系周りの仕上げが雑な場合があること。実際問題、PhotogenicやLegendあたりと比べるとだいぶマシだし、それを差引いてもブリッジやネック周りの仕上がりはすばらしいので、他のブランドと比べるべくもない。
*3:いわゆる「レスポール」を名乗れるのは、本家Gibsonの他には直系であるGibson JapanとEpiphoneのみ。他のギターは、たとえそっくりであっても「レスポールタイプ」「レスポールコピー」であり、厳密には「レスポール」ではない。まぁ、こだわる人は少数なので、最初のうちは気にしなくていい。
*4:ON/OFFの他に「STANDBY」がある場合、それを切るだけでOK。いきなり電源をOFFにしないように。
*5:バンドスコア「PIED PIPER」「OOPARTS」バンドスコア機材紹介参照
*6:例えばthe band apartの原昌和氏はアンプのTuner Outに繋いで使用しているのが視認できる。あと、アナログフィッシュの佐々木健太郎氏の使用も確認した。